乗馬の安全基準を全国にーノマドキャンプの挑戦

ウランバートルから35kmほど離れたナライハというところに、日本人に大大大人気の乗馬キャンプがあるんです!

キャンプのオーナーはムギーさん。東京外国語大学で日本語を学んだあと、京都大学に進学、さらに東京大学で経済学の修士号までとったというムギーさんが、モンゴルに帰国後乗馬キャンプを始めた理由とは・・・?

ムギーさんが乗馬キャンプに込める熱い思いをお届けします。

 

―ムギーさんがNomad Camp(ノマドキャンプ)を始めたきっかけを教えてください。

ノマドキャンプは、2014年に始めて、今年で5年目になります。僕のおじいちゃんとおばあちゃんが遊牧民だったので、子どものころから乗馬が大好きでした。日本に留学していた頃、日本人の友達がモンゴルに来たので一緒に乗馬をしようと思ったのですが、当時はあまり良い場所がなかったんです。遊牧民が経営するところは乗り方を丁寧に教えてくれるわけではないので安全面で心配だし、ツーリストキャンプに行って高いお金を払っても、結局乗馬のガイドをするのは遊牧民だから同じこと。安全面を考えてのサービスを提供しているキャンプがないというのは問題だと感じ、それなら自分で作ろうと思ったんです。僕は子どもの頃遊牧生活をしていたので、日本人の友達がモンゴルに来たときに、草原でゲルに泊まって馬に乗って・・・という、モンゴルの田舎をそのまま、しかも安心して体験できる場所を作りたかったんですね。今、テレルジ*にはたくさんのツーリストキャンプがあって、すごく豪華なホテルみたいな施設もありますよね。でも、僕のノマドキャンプでは、そのままの自然を楽しめるようにしています。夏になれば家畜が寄ってきて、草や花の香りが混じる新鮮な空気を味わえる。お客様には、モンゴルの自然を楽しみながら、安全に乗馬を楽しんでほしいんです。

*テレルジ・・・ウランバートル市内から約70km離れたツーリストキャンプで有名な場所

―ムギーさんの遊牧生活の知恵と、お客さんへの想いがたくさん詰まったキャンプ場なんですね。お客さんは日本人が多いんですか?

そうですね、今は9割以上のお客様が日本人です。夏の観光シーズンが始まると他の国の方も来ますけど、日本大使館の方々をはじめ、日本人の方によく来ていただいています。

―ノマドキャンプには、スタンプカードやレベルの設定など、乗馬意欲をかきたてる工夫が多いですよね。これはムギーさんのアイデアですか?

スタンプカードは、日本留学中に初めて目にして、すごく気に入ったのでキャンプにも導入しました。ノマドキャンプに来てくれるお客様はほとんどが常連さんなので、何か喜ばれるようなことをしたいな、と思って。スタンプカードは乗馬1回毎に1個スタンプを押しますが、スタンプを3個集めたら乗馬1時間を無料サービスしています。さらにたくさんスタンプを集めると、サプライズで色々プレゼントがありますよ!お客様と一緒に、できるだけ楽しくやっていきたいです。

最近始めたレベルカードは、安全面を考慮して作りました。乗馬レベルが5級~1級に分かれていて、各級によって習得したスキルが一目で分かるようになっています。

 左:スタンプカード>>>乗馬1回毎に1個スタンプがもらえます!

  右:レベルカード>>>こちらは4級のカード。手足の正しい姿勢やムチを使ってスピードを上げられる等々、12個のスキルが求められます。

 

そして、こんなノマドキャンプグッズも!!キャップ、パーカー、ジャケット、ブーツ、etc…とにかくかっこいいです。これ着て馬乗ってたらやばいです。

 

 

 

 

 

ノマドキャンプは今年で5年目になりますが、年に何度かはやはり落馬が起きてしまう。どうしたら落馬を減らせるのか考えた結果、たどり着いたのがこのレベルカードなんです。これがあれば、お客様もガイドも、今どんな乗馬スキルがあって、どんなことに気を付ける必要があるのか、一目で分かります。僕と妻以外のスタッフは日本語ができませんが、僕がいないときでもこのカードがあれば、スタッフが適切に対応できます。お客様も、自分のレベルが上がっていくのは楽しいと思いますし、一つ一つ乗馬スキルを身に着けて、上手になってほしいですね。そして、こういうやり方・考え方を、ほかの乗馬キャンプにも広げることができれば、モンゴルでの落馬件数はぐっと減ると思います。乗馬はモンゴルの大事な観光資源なので、遊牧人に任せっぱなしにしてしまうのは良くないと個人的には思うんです。遊牧民の本業は家畜の世話ですから、乗馬のガイドはどうしても副業的になってしまう。しっかりとした共通の安全基準ができれば、落馬数が減って、ガイドも仕事がしやすくなります。僕たちのノマドキャンプで良い事例を作ることで、自分のお客様のためだけでなく、モンゴル全体の乗馬キャンプの安全・サービスの向上に貢献できると信じています。

 ―ムギーさんのアイデアは既にお客さんの間で大人気ですからね。このアイデアとノウハウが周りにどんどん広がって、乗馬を安心して楽しめる環境が定着すれば、モンゴル観光の魅力もぐっと増すと思います。今後は、もっとキャンプを増やしたりする予定ですか?

キャンプを増やす予定は今のところないですね。今後はNGOを立ち上げて、乗馬の安全基準作りを形にしていきたいです。NGOで安全基準を定め、安全性を認められたキャンプはNGO認定乗馬キャンプに認定できるようにして、安全性を考慮した乗馬をモンゴルに広げたいと考えています。ホテルで、「5つ星ホテル」とか「4つ星ホテル」ってありますよね?その乗馬キャンプバージョンを作って、安全意識を高めていきたいんです。

こういったアイデアは、4年前には考えもつかなかったけど、自分で色々試行錯誤していくうちに、少しずつ形になってきました。観光はモンゴルにとって将来性のある重要な分野なので、今のままではもったいないと思うんです。乗馬は楽しく、安全に。この考えを今後発展させていきたいですね。今年のノマドキャンプの目標は、落馬ゼロ!成果は着実に出ているので、ここで立ち止まらず、より良くしていけるようこれからも頑張ります。

ムギーさんと奥さんのエンヘーさん。そしてかわいい犬や馬がノマドキャンプで待ってます!

 

 

 

ノマドキャンプのFacebookページはこちら↓是非チェックしてみてください☺

https://www.facebook.com/nomadhorsecamp/

 

 

この記事を書いた人write

鹿野 詩織
鹿野 詩織(かの・しおり)

8歳の頃、初めて出会った海外の友人がモンゴル人だったことがきっかけで、モンゴルに憧れを抱く。 早稲田大学国際教養学部在学中にモンゴル国立大学への留学が実現。 卒業後、アクセンチュア株式会社、外務省勤務を経て、日本国際協力センター(JICE)にて、モンゴルにおけるJICAの人材育成プロジェクトに携わる。 モンゴル滞在中は、孤児院支援、遊牧生活、起業も経験。 現在は早稲田大学公共経営大学院に在学し、モンゴル研究、通訳、執筆活動等を行っている。

一覧へ戻る