サン・ミゲル・デ・アジェンデ 「世界遺産の街がデザインする公共図書館」
この日は朝から2人してトイレ地獄にはまった。
お腹の不調は旅の付き物・・・モンゴルでは「3週間目に入るタイミングでお腹を壊す」というジンクスがあり、その言葉通り、周りも私自身も皆3週間目でバタバタと倒れていたのを思い出す。
メキシコのサン・ミゲル・デ・アジェンデという美しい街にいるというのに、私達が繰り返すのはベッドとトイレを反復する過酷なバトンリレー。片方が懸命に戦いに臨む間、もう片方は必死に耐え凌ぐ。双方にとって分が悪いのは、この部屋に窓がないことだ。換気担当として扇風機・強度MAXを迎え入れ、3人体制でこの難所に立ち向かった。果たして2人旅とは、赤の他人同士である両者にとって強い絆となるのか、はたまた小さなささくれの連続となるのか。とりあえず今日のところは一致団結して山を乗り切ったので、街へ散策に出かける。腹を壊しても腹は減るもので、早速市場へ。
いつビッグウェーブが来るか気が気ではないので、いつになくお上品に食べ始める。
あぁ、美味しい。戦いを経て疲弊した五臓六腑に染み渡る濃いサルサソースとアボカドの甘み。
お腹も心も満たされたところで、本日お目当ての公共図書館へ。メキシコシティのヴァズコンセロス図書館が素晴らしかったので、期待値が上がる。
噴水を中心に、本のセクション毎に小部屋が並ぶ。小さなドアをくぐれば左右、正面に本が並び、その静寂なパレードは奥に奥に続いていく。
既知の世界とは無縁の、どこか独立した小宇宙に紛れ込んだような錯覚を起こしながらその瞬間を堪能する。本に囲まれる時間は、私を自由にしてくれる。
情熱溢れる天井画からもエネルギーをもらった。
見るもの出会うもの全てが真新しい毎日。
その一瞬一瞬を大切に、旅の歩みを続けよう。
早稲田大学国際教養学部、政治学研究科卒、モンゴル国立大学留学。
アクセンチュア株式会社、外務省、日本国際協力センター(JICE)、在モンゴル日本大使館にて勤務。
幼少期に1人の留学生と出会ったことがきっかけで、いつのまにかモンゴル尽くしの人生に。2022年6月からは世界一周の旅に出発。自身のウェブサイトKANO LABO(カノラボ)
https://kanolabo.comで旅のコラムや旅情報を発信中。
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