メキシコシティ「ヴァスコンセロス図書館と恐怖の細道」

今日のお目当てはヴァズコンセロス図書館。別名「空飛ぶ図書館」。世界には素晴らしい図書館があると知ったのはスウェーデンのストックホルム市立図書館を訪れてからだった。今回も期待が高まる。

日曜日の朝なので、昨日の喧騒と打って変わって人通りが少ない。既に見慣れた高層ビル街を抜けて、図書館を目指して歩く。意気揚々と歩く。

その揚々な意気が恐々な畏怖に変わった瞬間を、今ならはっきりと思い出せる。問題なのは、その時に気づけなかったことだ。

確かに15秒前までは、ベビーカーを押すカップルや旅行客が私達の前方を歩いていた。それなのに、気づけば辺りは不気味に静まり返り、冷たく閉じたシャッターばかりがこちらを向く。人気を感じたかと思えば、明らかに浮浪者と分かる影が私に向かって突進してくる。全身の毛穴から高音アラートが発せられるなか、自分の足先だけを見つめながら高速で人影をかわして進む2人。

怖かった。何をされたわけでもないけれど、「ヤバそうな場所」に足を踏み入れているという事実が怖かった。メキシコシティは場所さえ間違えなければ安心して出歩ける。ただ、「行ってはいけない場所」が初心者には分かりづらい。モンゴルには「本気でヤバイ場所」は数少ないし、土地勘がある分そういった場所に対する感度が高かった。でもここはメキシコ。私のアンテナは役立たずだ。

そんなこんなで涙目になりながら辿り着いた図書館は、文句無しに素晴らしかった。

市営図書館なので入場料は無料。こうして宙に浮かんだ本達に囲まれながら読書や勉強ができる。

来て、よかった。
辿り着いて、よかった。

感動を胸に、来た道とは別の道を迂回しながら家路に着く。途中、お腹が減ったので屋台のハンバーガーをぺろり。

目の前のおじさんの赤い背中を追っていくと、広場から音楽と歓声が聞こえた。

あぁ、平和っていいな。安心して歩けるって尊いな、とありがたみを感じながら、家路につく。

 

恐怖の細道によるダメージが大きかったようで、この日も疲労困憊でベッドへ。恐怖と感動と安心と、日本ではあまり揺さぶられることのない感情が動いた1日だった。

 

◇◆2022年6月から、世界一周の旅を始めました◆◇

スタートはメキシコ、ゴールはモンゴルを予定しています。

旅の様子はこのコラムと、インスタグラム@kano_labo でも発信していきますので、是非一緒に旅をしている気分を味わって頂ければ嬉しいです!現地でしか分からない、各国のエピソードをお楽しみください。

この記事を書いた人write

鹿野 詩織
鹿野 詩織(かの・しおり)

早稲田大学国際教養学部、政治学研究科卒、モンゴル国立大学留学。
アクセンチュア株式会社、外務省、日本国際協力センター(JICE)、在モンゴル日本大使館にて勤務。

幼少期に1人の留学生と出会ったことがきっかけで、いつのまにかモンゴル尽くしの人生に。2022年6月からは世界一周の旅に出発。自身のウェブサイトKANO LABO(カノラボ)
https://kanolabo.comで旅のコラムや旅情報を発信中。
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