並べて眺めてみた!モンゴルとスリランカー④街にサンタはやってくるのか?

いよいよ2021年も終わりに近づいてきました。去年の今頃はモンゴルで絶賛ロックダウン中だったことを思うと、時間の流れの速さに驚きます。年を重ねると時が経つのが早いというのは、本当でした。あの頃は1年後にスリランカで年末年始を過ごすなんて考えてもみませんでしたが、人生どこに転がるかわからないものです。『並べて眺めてみた!モンゴルとスリランカ』企画の第4弾は、クリスマスの過ごし方についてです。

 

―クリスマス?え?こっちは●●で忙しいの!

モンゴルで多く信仰されているのは、チベット仏教です。お正月は日本のカレンダーとは異なり「ツァガーン・サル(白い月)」という旧正月を祝いますし、クリスマスは基本的にスルー。スフバートル広場ではトナカイを伴ってそりに乗るサンタクロースらしき氷の像を見かけることもありますが、そこには ”Merry Christmas” ではなく、”Happy New Year” の文字が。クリスマスセールも見かけないですし、「クリスマスパーティーしようよ!」なんていうお誘いもありません。

 

実はこの時期、モンゴルの人たちは非常に忙しいのです。なぜなら、12月は「シンジル」があるから。シンジルとは直訳すると「新しい年」という意味ですが、つまりは「大忘年会」のことです。

会社や友人間で開催されるこのシンジルに賭けるモンゴル人の情熱とエネルギーは並大抵ではありません。会場決め、メニュー決め、歌やダンスなど余興の仕込み、司会、プレゼント交換など結婚披露宴級の準備を行うため、10月に入った頃から職場ではシンジルに向けた特殊チームが結成されます。特に余興の出来はシンジルの盛り上がりを左右する重要な要素なので、チームメンバーは鬼の形相と気迫で練習に励むことになります。モンゴル人は個人戦に強くチームワークに欠けるとよく言われますが、目の前に差し迫ったものに対する瞬間的な団結力と突破力は凄まじい。土俵で相手に突っ張りをくらわす様な勢いで短期間にTODOをこなし、最後には完全な勝利を手に美味い酒で乾杯。これぞモンゴル人の美学です。街にサンタはやって来ずとも、自分たちの楽しみは自分たちの手で作り出す、そんなモンゴルの12月です。

 

―クリスマス!え!ツリーにセールに・・・祈りの日

ウランバートルとは打って変わって、スリランカ・コロンボでのクリスマスムードはとっても華やかです。さすがは観光立国とあって海辺には名だたる高級ホテルがずらり。エントランスには巨大なクリスマスツリーが飾られ、工夫を凝らしたクリスマスディナープランが用意されます。市内をトゥクトゥクで走れば、クリスマスセールの看板が並び、街中がクリスマス商戦に湧き上がっていました。多民族・多宗教国家として知られるスリランカでは、仏教徒の割合が約70%、ヒンドゥ教徒が約12%、イスラム教徒が約10%、キリスト教徒が約8%と言われています。コロンボにいると確かに仏教徒の人が多いのですが、私が今年のクリスマスを過ごした最北端の街・ジャフナではヒンドゥー教徒の人が多数を占めるほか、キリスト教徒の人も多い印象でした。クリスマスの日はコロンボほどの派手さは無いものの、店の人やすれ違う人たちが口々に “Merry Christmas!” と声をかけてくれて、街中が祝福の雰囲気に包まれていました。ジャフナはタミル人の人口が多く、ヒンドゥー寺院とタミル文化が特徴的な街です。また、スリランカ内戦中は反政府組織軍の支配下に置かれ、他の地域以上に悲しみや苦しみを負った地域でもあります。でも、実際に訪れたジャフナはとにかく温かくて、出会った人みんなが笑顔とホスピタリティに溢れていました。多民族だからこそ、多宗教だからこそ、難しい局面は多いはずです。でも、だからこそお互いを尊重し、理解しようとしてきた努力は、人々の在り方をより崇高なものにしたのでしょう。ジャフナで何度も耳にした “Merry Christmas!”は、これまで聞いたものとは全く別の、特別な祈りの言葉として心に残っています。

 

 

 

 

 

 

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鹿野 詩織
鹿野 詩織(かの・しおり)

8歳の頃、初めて出会った海外の友人がモンゴル人だったことがきっかけで、モンゴルに憧れを抱く。 早稲田大学国際教養学部在学中にモンゴル国立大学への留学が実現。 卒業後、アクセンチュア株式会社、外務省勤務を経て、日本国際協力センター(JICE)にて、モンゴルにおけるJICAの人材育成プロジェクトに携わる。 モンゴル滞在中は、孤児院支援、遊牧生活、起業も経験。 現在は早稲田大学公共経営大学院に在学し、モンゴル研究、通訳、執筆活動等を行っている。

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