止まらないコロナ、始まる大統領選

4月から連日1000人以上の新規感染者が確認されていた、モンゴル。

感染者ゼロ記録を更新し続け、世界から「優等生」として一目置かれていたこの国も、一度感染が広まったら抑えることはできなかった。

強風に煽られた黄砂と砂埃に顔をしかめながらも、長い冬が終わる安堵と夏に向けた高揚感に身が包まれるはずのこの時期、ウランバートルは4度目のロックダウンを迎えていた。慣れっこと言えば慣れっこで、特に適応力がずば抜けて高いモンゴル人は即座にテレワークに切り替え、ロックダウン中の楽しみ方も既に心得ているかのような雰囲気もあった。

それでも、街に人がいないのは寂しい。

至る所に警官が配置され、以前は黙認されていたジョギングでさえ問答無用に規制対象となってしまった。しかしそれも、連日の新規感染者数を見ていると諦めざるを得ない。既に身近に感染してしまった人も複数いたし、私の友人の父親はコロナで亡くなった。いつ誰が感染しても、既に感染していたとしてもおかしくない状況で、その脅威の体感レベルはこれまでとは比較にならなかった。

 

ロックダウンは5月8日に解除、23日からはレストランでの店内飲食も解禁され、街には再び人が溢れている。唯一救いなのは、ワクチン接種が進んでいること。途上国を中心とする地域でワクチン不足が懸念される中で、モンゴルはそれには該当しない。既に国民の約半数がワクチン接種をしており、レストラン入店時には2回接種が完了したという証明書を提示する。ウランバートルでは既に、ワクチン接種を前提とした新たな社会が構築されつつあるのだ。モンゴルは感染者ゼロの優等生ではなくなってしまったが、ワクチン接種のスピードと実行力で言えば、やはり優等生だと言えるだろう。

そんな「ニュー・ウランバートル」の今日の感染者数は、927人(内829人がウランバートル市内)。6月9日に大統領選を控えたこの国のネット上には、「投票日までに感染者数はゼロになるよ」と政治腐敗に対する皮肉たっぷりの揶揄が飛び交っているが、感染者は依然、減らない。モンゴルの大統領選は4年に1度、今回は元首相・人民党フレルスフ氏、民主党エルデネ氏、正義人・有権者連合エンフバト氏という3名の立候補者が争うことになる。大統領選まであと10日ほど。政治とコロナ感染者数の推移に、果たして相関は出るのだろうか。

 

 

 

 

 

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鹿野 詩織
鹿野 詩織(かの・しおり)

8歳の頃、初めて出会った海外の友人がモンゴル人だったことがきっかけで、モンゴルに憧れを抱く。 早稲田大学国際教養学部在学中にモンゴル国立大学への留学が実現。 卒業後、アクセンチュア株式会社、外務省勤務を経て、日本国際協力センター(JICE)にて、モンゴルにおけるJICAの人材育成プロジェクトに携わる。 モンゴル滞在中は、孤児院支援、遊牧生活、起業も経験。 現在は早稲田大学公共経営大学院に在学し、モンゴル研究、通訳、執筆活動等を行っている。

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