国家大会議選挙2

25日に実施された第8回国家大会議選挙結果は、人民党62議席、民主党11議席で与党人民党の圧勝となりました(6月25日時点速報値)。「1人も死者を出さない」という強い姿勢で実施してきたコロナ対策で人気を保っていたフレルスフ政権が逃げ切るのではと予想はしていましたが、ここまでの大差がつくとは驚きです。この結果を受けて民主党指導部は責任を問われており、今後党首・副党首の辞任も想定されます。選挙後のウランバートル市内では、デモや暴動は起きておらず夏の陽気の下平穏な日常が流れていますが、一部報道では投開票時に不正があったと報じられており今後の動向によっては何かしらの混乱が予想されるので、まだまだ気が抜けません。(2008年の選挙時には、選挙結果に不満を抱いた民主党支持者が当時の与党・人民革命党の本部ビルに押しかけて死者が出るほどの暴動になった過去があります。わたしは当時、モンゴル国立大学の学生寮に住んでいたのですが、窓から見えた黒煙とバチバチと物が燃える破裂音は未だに覚えています・・・・。)

今回の選挙は投票者の身元確認から投票までシステム上で管理された「デジタル選挙」だったわけなのですが、一体どんな「不正」が考えられるのか?報道によれば、ある候補者の得票数が一定数を超えると残りは人民党に自動的に流れる仕組みになっていたとか、ある選挙区では投票数が有権者数を大きく上回っていたとか・・・システムごとハッキングされたのではないかという指摘もありました。真相が明らかになるのはもう少し先か、もしくは明らかになることはないのかもしれませんが、今は目の前にある選挙結果を民意と捉え、今後のモンゴルを見守るほかありません。

投開票時の不正のほかにもうひとつ気になったのは、今回の選挙から海外居住のモンゴル人の選挙権がなくなってしまったことです。海外に行って、モンゴル人と出会ったことのある日本人の方は意外と多いのではないでしょうか?さすが遊牧民というべきか、ハングリー精神が豊富でフットワークの軽いモンゴル人の中には、チャンスを求めて海外で生計を立てる人が少なくありません(近年の経済不振によって国内で職を得るのが困難なため、出稼ぎに行くケースも含みます)。国外にいる国民の声が一切シャットアウトされてしまうというのはベーシックな人権の侵害にあたるもので、なぜ今回同様の措置が取られ承認されてしまったのか・・・疑問が残るところです。

また、実際に現地で起きていた話として「投票前の贈収賄」についても耳にしました。ターゲットはお年寄りで、「担当者」が特定の候補者に投票するように言いくるめ、結構な額のお金をおじいちゃん、おばあちゃんの手に握らせるそうです。投票時にその「担当者」が付いてくることはできないし、誰に投票したか(不正がなければ)他人にバレることはないので言うことを聞く必要はないのですが、お金を握らせる際に「身分証の番号」を控えられるそうで、みんな怖くなってしまうのでしょう。他にも、救急車が投票者の「移動バス」に変身して、中ではお金をジャンジャンばら撒いて票集めをしていたというような噂も・・・目の前で見たわけではないので何が本当か分かりませんが、少なからずこういった実情があるのでしょう(最近河合議員夫妻が逮捕された事件あったように、日本も他国のことは何も言えません)。

ちなみに、モンゴルには日本で学んだ留学生たちのネットワーク「JUGAMO会」という組織があるのですが、今回の選挙には25名のJUGAMO会員が立候補しました。当選したのは人民党のP.アノジン氏正義の党連合のT.ドルジハンド氏の2名に止まりましたが、次回以降の選挙にも日本留学組の活躍が期待されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

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鹿野 詩織
鹿野 詩織(かの・しおり)

8歳の頃、初めて出会った海外の友人がモンゴル人だったことがきっかけで、モンゴルに憧れを抱く。 早稲田大学国際教養学部在学中にモンゴル国立大学への留学が実現。 卒業後、アクセンチュア株式会社、外務省勤務を経て、日本国際協力センター(JICE)にて、モンゴルにおけるJICAの人材育成プロジェクトに携わる。 モンゴル滞在中は、孤児院支援、遊牧生活、起業も経験。 現在は早稲田大学公共経営大学院に在学し、モンゴル研究、通訳、執筆活動等を行っている。

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