フレルスフ首相、26年越しの日本人ファミリーとの再会へ

【若き首相が大切にしてきた日本での思い出】

モンゴルのフレルスフ首相と日本のホストファミリーとの心温まるエピソードが、最近日本の新聞各紙で紹介されています。

首相とホストファミリーの出会いは1994年。当時、JICAの事業で青森県を訪れたフレルスフ首相は、「高村さんファミリー」のお宅にホームステイし、親交を深めたそうです。特に、当時8歳だった高村さんファミリーの次女・智美さんのことをとても可愛がっていたようで、「大きくなったらモンゴルに招待するからね」と約束して日本を後にしました。

フレルスフ首相は26年経った今もその約束を忘れることなく、昨年天皇陛下即位の礼に参列するため日本を訪れた際に、在モンゴル日本大使館の職員にホストファミリー探しを依頼。そして今回、無事見つけ出すことができたというわけです。26年越しの約束を守りたいと願ったフレルスフ首相の人柄もそうですし、首相の依頼を受けて奔走した大使館員の方も個人的によく知っているので、高村さんファミリーが見つかったと聞いて、心がじんわりと温まりました。大切な人との縁というのは、時を超えてまた繋がれるタイミングを待っているものなんですね。新年早々、日本とモンゴルをつなぐ素敵なエピソードに触れることができて、なんだか今年も良い年になりそうです。

 

【私にもこんなエピソードがあった】

このフレルスフ首相の話を聞いて思い出したのが、私が小学生時代に出会い、モンゴルに来るきっかけを作ってくれた「ゾルザヤさん」。こちらは遡ること24年、埼玉県で小学生をしていた私をモンゴルに引きずり込む引き寄せてくれた出会いがありました。「小学生×モンゴル」と問われれば、イコール「スーホの白い馬」という方程式が定番ですが、私の場合はひと味違いました。まだ1日が1日が長く感じられていた小学生のあの日(どうして年を取ると1年がこんなに早いんだろう)、サッカーの長谷部選手にちょっと似ている私の担任「藤田先生」は、突如美女5人を教室に招き入れました。美女達の出身地は、アメリカ、インド、タイ(×2人)、そしてモンゴル。5人は、埼玉大学で学ぶ留学生でした。美女5人の自己紹介が終わると、長谷部似の藤田先の指示で、私達は興味のある国を選んで数人のグループを作ることに。教室には異国の美女達を囲む輪が5つできました。そのとき、私は一切わき目を振ることなく、モンゴルの「ゾルザヤさん」がいる輪にいそいそと椅子を引きずっていったのを覚えています。本当に、今となっては理由は全く分かりませんが、小学生の私はアメリカではなく、インドでもタイでもなく、モンゴルに惹かれたのです。緊張と興奮で舞い上がっている日本人の小学生達に囲まれた「ゾルザヤさん」は、持参したモンゴルのポストカードを私達に見せてくれました。そこには、白い花が咲き乱れる夏のモンゴルの草原で、同じく白いドレスを着た女性がポーズをとっている姿、遊牧民が馬に乗って羊を追いかける様子などなど、見たことのもないような大自然と人々の暮らしが、色鮮やかに広がっていました。

 

【『大きくなったら、モンゴルへ行く』】

授業後、興奮冷めやらない小学生の私が家に帰り、母親に1日の出来事を話すと、「お姉さんたちに手紙でも書いてみたら」と粋な提案を受けました。小学生の私は、今の私が見たら感心するような勇気と行動力を発揮し、すぐさま埼玉大学に電話をかけて「留学生にお手紙書きたいんです・・・!」と直談判。こうして、異国の美女達との文通が始まったのです。

これも不思議なのですが、留学生との交流のなかで、ゾルザヤさんとの手紙のやりとりが1番頻繁に、長く続きました。手紙に書かれた「今度、モンゴルで会おう」という力強い、きれいな日本語で書かれた一文を見て、小学生の私の心は決まりました。『私、大きくなったら、モンゴルへ行く』。

ゾルザヤさんが留学を終えてモンゴルへ帰国した後は、甥っ子の「ソドーくん」を紹介してくれて交流が続きました。ソドーくんが「少年アシベとゴマちゃん」のレターセットに、習いたての日本語で書いてくれた手紙を見ると、懐かしさがこみ上げると同時に、今私自身がモンゴルにいることが不思議で、でもきっと必然だったのだろうと、勝手に感じています。

 

【再会を信じて】

さて、小学生の頃からの憧れを引っ提げてモンゴルへの上陸を果たした私。ここまで来ると、もちろんゾルザヤさんとはとっくに感動の再会を果たしたものと期待が高まりますが、実はまだ会えていないのです・・・当時(1996年頃)日本へ留学したモンゴルの方というのは非常に限られると思うのですぐ見つかると思ったのですが、まだ再会を果たせていません。

が、この縁はきっとまだ繋がっていて、最高のタイミングを見計らって出番を待っているものと信じたいと思います!

(※もし何か有力情報お持ちの方いましたら、ぜひご連絡ください・・・!)

この記事を書いた人write

鹿野 詩織
鹿野 詩織(かの・しおり)

8歳の頃、初めて出会った海外の友人がモンゴル人だったことがきっかけで、モンゴルに憧れを抱く。 早稲田大学国際教養学部在学中にモンゴル国立大学への留学が実現。 卒業後、アクセンチュア株式会社、外務省勤務を経て、日本国際協力センター(JICE)にて、モンゴルにおけるJICAの人材育成プロジェクトに携わる。 モンゴル滞在中は、孤児院支援、遊牧生活、起業も経験。 現在は早稲田大学公共経営大学院に在学し、モンゴル研究、通訳、執筆活動等を行っている。

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