モンゴルを煙から救え!

「モンゴル」と聞くと、思い浮かぶのはどんな景色でしょうか。地平線が広がる広大な草原、昔ながらの遊牧民のゲル、今にも降ってきそうな満点の星空・・・どれもモンゴルで出会うことができる絶景です。ですが、こんなイメージとは正反対に、モンゴルの首都ウランバートルは、深刻すぎる環境問題に直面しています。モンゴル大好きな私はここで良い話ばかりご紹介したいのですが、今日はそんなダークサイドのお話です。

 

モンゴルは日本の4倍の国土に約320万人が暮らす、世界で最も人口密度の低い国のひとつ。しかし、今やその人口の約半数にのぼるとも言われる100万人以上が首都に集中し、ウランバートルは超人口過密都市として様々な問題を抱えています。毎日、仕事を求めて田舎から首都へ移住する人たちが絶えないので、人も車もさらに増えるばかり。そこで深刻になっているのが大気汚染で、今や「世界一空気が汚い首都」と認定されるほどになってしまいました。実際街では、煙のせいで1メートル先も見えず、喘息持ちの人やアレルギーを持って生まれてくる子どもが急増しているのが現状です。(街を歩いていると、煙すぎて息が吸えないレベルなんです。吸った瞬間「あー、いま肺がやられた・・・」って分かります。本当に。)

大気汚染の主な原因は、ゲル地区(いわゆる「スラム街」)で冬季に使用される石炭が、四方を山で囲まれたウランバートルに充満してしまうこと。安価で手に入りやすい石炭は、化石燃料のなかでも最も多く二酸化炭素を排出します。ウランバートルに立ち並ぶアパートには温水パイプが通っていて、セントラルヒーティングが完備されていますが、スラム街のゲルで極寒の冬を耐え抜くには、石炭を燃やして暖を取る選択肢しかないのです。国の発展の影で貧富の差が拡大しているモンゴル。その格差は確実にそこに暮らす人々の健康を蝕み、社会全体の大きな負の遺産として、次世代の生活に暗い影を落としています。

 

大きく澄んだ空と緑豊かな大草原。そんなモンゴルがいつまでも続くように切に願うのは、他でもなくモンゴルの人々です。現在、Change.orgで「Death from Smog in Mongolia #HumanRightsClick)」というキャンペーンが実施されていて、モンゴル政府に対しアクションを求める署名を集めています。是非現状を知っていただき、チェンジへの一歩にご協力いただけると嬉しいです。

実は、モンゴルでは、このような自国の現状を改善するため、日本の高度成長期における公害問題から学ぼうという動きがあります。こちらは、今年11月にウランバートルで開催された水俣病写真展の様子(共同)

当時の日本の苦しみを無駄にしてはいけないし、きっと日本の経験と学びが、モンゴルの人々の笑顔につながるはず。そこに暮らす人たちの少しの意識の変化が、大きな改革につながることを信じて、こうしたキャンペーン、アクティビティを応援・実施していこうと思います。肺が黒くなるモンゴルなんて絶対嫌だ!是非、皆さんもご協力をお願いします。

この記事を書いた人write

鹿野 詩織
鹿野 詩織(かの・しおり)

8歳の頃、初めて出会った海外の友人がモンゴル人だったことがきっかけで、モンゴルに憧れを抱く。 早稲田大学国際教養学部在学中にモンゴル国立大学への留学が実現。 卒業後、アクセンチュア株式会社、外務省勤務を経て、日本国際協力センター(JICE)にて、モンゴルにおけるJICAの人材育成プロジェクトに携わる。 モンゴル滞在中は、孤児院支援、遊牧生活、起業も経験。 現在は早稲田大学公共経営大学院に在学し、モンゴル研究、通訳、執筆活動等を行っている。

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