ここでは、弊事務所で関わった数多くの日本企業・日本人のモンゴルにおけるビジネス展開における失敗事例をご紹介したいと思います。その上で、どこに落とし穴があるのかを知り、先達の失敗から学ぶことは、これからモンゴルを舞台にビジネスを展開する日本企業・日本人にとって、大変重要な事と考えています。ここで紹介する失敗事例の大半は、簡単にパートナーを信用してしまった、事前の調査不足、取るべき契約書等の法務面の整備が欠落していたことが敗因です。これらの失敗事例研究が、これからモンゴル市場を舞台にビジネス展開を検討する皆様にとって貴重な他山の石となり、真の意味での日本モンゴルの貿易・通商・投資関係の強化に資することを真に願います。

FAILURE CASE失敗事例

失敗事例その1:モンゴルでの化粧品原料工場建設プロジェクト

失敗事例その1:モンゴルでの化粧品原料工場建設プロジェクト

【事例】

東京都所在の中堅化粧品会社が、著名人でもあるモンゴル人パートナーに誘われて、モンゴルでの化粧品原料の調達・加工工場を建設し、日本へ輸出するプロジェクトを構想。モンゴル人パートナーは日本語が流ちょうで且つ著名人であったことから、日本企業社長はそのモンゴル事業の共同経営者として認め、数億円の出資・投資を実行した。
一方で、建設された工場は、ウランバートル市郊外の廉価な土地、草原の中にあり、現地実地調査のところ、建設された上物は高く見積もっても数千万円で出来そうな建物であった。また、そこで調達された原料の加工も、化粧品原料とは畑違いのパートナーであった為、日本の製品製造の原料として十分な品質管理がなされず、結局、原料として活用できることにはならなかった。
また、数億円の投資と実際にモンゴルでの工場建設費用との差額は、何処かへ消えてしまい、実質プロジェクトは停止・放置状態となった。

【研究】

一般的に日本企業の社長は日本語を解するモンゴル人に対して、簡単に胸襟を開く傾向にあって、本事案も詳しい現地調査をせずに共同パートナーの日本語の言葉を簡単に信用したことが主たる敗因。総投資額と現地工場建設費用との差額は共同パートナーの懐に入ってしまったものと推測される。

【教訓】

  • 「日本語が流ちょうで著名人であっても信用に値するかは別物」

【失敗しないために】

弊事務所では、このような失敗を回避する方法、工夫、仕組みの情報提供を行っております。気になる方は、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
お問い合わせ:https://tdbm.jp/contact/

失敗事例その2:モンゴルでの商業マンション開発プロジェクト

失敗事例その2:モンゴルでの商業マンション開発プロジェクト

【事例】

神奈川県所在の業績堅調な中堅機械メーカーの社長は、自社で採用したモンゴル人が本国へ帰国する際に、ウランバートル市にて需要が高まる住居用マンション開発プロジェクトを持ちかけられた経緯。内容はマンション用地を買収の上、上物を建設し、その上で賃貸もしくは分譲し、利益を折半するというものであった。
実際に、日本企業社長は個人資金3億円を投資実行。送金は共同開発者であるモンゴル人の個人口座へ送金した。その後、マンション用地の底地は共同開発モンゴル人名義で取得、上物建設費用も日本企業社長の出資金で、建設されたものの、当初の約束であった分譲利益の分配、並びに賃貸部分における日本企業社長の持分についても、各種理由を付けて所有権の変更が進んでいない。
日本企業社長は、共同開発者のモンゴル人との契約書を作成していたが、A4縦一枚の手書きの契約書であり、管轄法・管轄裁判所についての記載のないもので契約書としての実効性に欠落するものであった。その結果、マンションは完成し賃貸・分譲が始まっているものの日本人社長への当初の約束通りの区分所有権の移転は元より、分譲・賃貸利益の利益分配もされていない。日本人社長は弊事務所の勧めに基づき、契約書のまき直しの交渉に入ったものの、モンゴル人パートナーはそれに応ぜず今日に至る。

【研究】

そもそも論として、契約書を作成するに当たり、信用に足る弁護士事務所を活用せずに、法律専門家の検証なしに日本企業社長のささやかな個人知見に基づき判断したことが敗因。現在も底地は共同開発者のモンゴル人名義であり、上物も同様。現地にて係争に持ち込みたいという日本企業社長の意向であるものの、契約書未整備の上では日本企業社長に勝ち目がないという状態。事実上、3億円の投資資金をかって自社で採用したモンゴル人に詐取されたことと同様の結果となっている。取るべき方法としては、日本企業社長自身でモンゴル現地法人を開設して、マンション開発は、そのモンゴル現地法人名義で行い、都度、資金の流出については取引銀行の協力を得ながら、その内容を事細かに検証するべきであったもの。

【教訓】

  • 「かつての自社社員であっても共同事業者に値するかは別物」

【失敗しないために】

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失敗事例その3:ウランバートル市郊外・別荘コンドミニアム開発プロジェクト

失敗事例その3:ウランバートル市郊外・別荘コンドミニアム開発プロジェクト

【事例】

北海道所在の中堅建設会社は、自社で勤務していた日本語を解するモンゴル人社員が本国へ帰国する際に、ウランバートル市郊外での別荘コンドミニアムの開発プロジェクトを持ち掛けられ、海外進出の橋頭保として、自社社員の母国であるモンゴルでの投資を実行。
その後、別荘コンドミニアムは完成し、分譲を開始したものの、一件も売れず同社の不良在庫となっている。理由は、別荘開発をした土地はウランバートル近郊の土地の中でも風が強く吹く地帯で別荘としては不人気であることが判明。またコンドミニアムの施工水準も低く、給湯設備も各戸個別になっておらず、共同給湯設備となっており、一戸がお湯を使うと残りの各戸はお湯が足りなくなってしまうという構造的な欠陥。推測するに、開発・建設費用として日本から投資した資金の相当部分を、かっての自社社員であったモンゴル人が懐に入れてしまったと思われる。
その後、別荘コンドミニアムは管理人がいるものの、一戸たりとも分譲実績なく、空き家に管理人の家族親戚関係者が勝手に住み着いてしまっている状態でプロジェクトは事実上、放棄されている。かつての自社モンゴル人社員はその後、日本の大学院へ留学、プロジェクトからも離脱している。

【研究】

本事例も、自社社員として採用していたモンゴル人の帰国の際に持ちかけられた案件で、事前に現地調査などの詳細な検証が明らかに欠落しており、自社社員であることを拠り所に必要以上に信用したことが敗因。

【教訓】

  • 「事前に詳しい現地調査とリスク共有の為の契約書整備が肝要」

【失敗しないために】

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失敗事例その4:モンゴル建設案件・下請け企業選定ミスの事例

失敗事例その4:モンゴル建設案件・下請け企業選定ミスの事例

【事例】

群馬県所在の準大手建設会社は、モンゴルにおける総額十数億円の大規模建設案件を受注。すでに中国を始め海外案件の経験あって、経験者を中心としたモンゴル事業チームを組成。モンゴルにて現地法人を開設し、建設案件に着手。その途上、モンゴル現地法人で採用した日本語通訳(女性)と本社からの駐在員が結婚(その後、離婚)。現地法人の経費支払事務において不正経理が発生(偽の請求書に基づく経費支払。差額は通訳担当のモンゴル人女性が着服)。加えて、日本語通訳の現地社員は自身が推薦し、最終的に選定された下請け業者(サブコン)から高級外車等のキックバックを受領。更に深刻なのは、意図的に工事進捗を遅らせて、追加建設費用を請求する等の不良工事進捗が浮き彫りとなった。工事は納期が遅れ、且つ下請け経費は膨張、立派な赤字案件となってしまった。くだんの不正行為を行った日本語通訳のモンゴル人女性は、日本人駐在員と離婚。不正資金を隠匿したまま、別のモンゴル人男性と再婚。

【研究】

アジア諸国での海外工事案件の経験はあったものの、知見経験のないモンゴルにおいて、現地社員の採用から下請け選定における企業信用情報の調査不足が原因。現法社長の個人的な経験から不正経理が発覚。早急に社内コンプライアンス・ガバナンス体制を整備し、くだんの不正経理実行犯にあたる現地社員を解雇すべきであったものの、日本人駐在員の妻女であったことを勘案、本社の意向で温情的な措置をとったことも傷口を広げた理由のひとつ。

【教訓】

  • 「日本語を解することと信用に値する人物かは別物」
  • 「日本人駐在員の現地生活管理の徹底が肝要」

【失敗しないために】

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失敗事例その5:モンゴル穀物加工工場建設プロジェクト

失敗事例その5:モンゴル穀物加工工場建設プロジェクト

【事例】

上記失敗事例その4と関連のある事例。同じく群馬県所在の業歴長い不動産開発会社がモンゴル東部ハルハ地方における農業開発に着目。穀物栽培の上、日本への輸出を企図。その物流上の途上に穀物加工工場を数億円をかけて建設するプロジェクト。現地法人を開設した際に、くだんの日本語通訳のモンゴル人女性より「モンゴルで外資系企業は開設出来ない、モンゴル人の名義が必要」という説明を受け、弁護士事務所他、関係機関へ裏取りをせず、それを信用。モンゴル人現地職員の家族を現地法人の筆頭株主且つ、現法社長に据え、現法を開設。そこへ億円単位で段階的に貸付金の形で送金したもの(但しローン契約書は未整備のまま)。
結果、工場は建設できたものの、その施工水準は低く、相当分の差額(数億円と推測)がモンゴル人現地職員の家族の懐に入ったものと推測される。その後、貸付金の返済は滞り、同貸付金を資本転換する方針となったものの、モンゴル人現法社長から現法株式を買い取るのに、相当な支出を余儀なくされた。

【研究】

そもそもモンゴル会社法では、100%外資出資且つ独資(外資系企業の単独出資)進出が認められているにも関わらず、悪意ある現地職員の言葉をそのまま信用し、且つ顧問弁護士事務所他、関係機関にも裏取りの調査を怠ったことが一番最初の敗因。
加えて、本社から現法への数億円にのぼる貸付金の実行に当たっても、貸付契約書が未整備で、且つモンゴル人現法社長のサインのないまま、貸付金を実行。その後の回収交渉に支障をきたした。現法株式の買い取りについても足元を見られた状態での交渉となり、少額の株式の買収に大きな金額の支出を余儀なくされた。

【教訓】

  • 「現地法制度については一次情報のみならず二次情報まで必ず調査すること」
  • 「モンゴル現地法人への貸付実行は、必ず適切な契約書の作成が必要」
  • 「意図的に悪意ある現地職員の家族は、同じく意図的に悪意を持っている」

【失敗しないために】

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失敗事例その6:モンゴル人企業オーナーへの貸付金延滞事案

失敗事例その6:モンゴル人企業オーナーへの貸付金延滞事案

【事例】

三重県所在の地場建設設備会社の社長は、予てより自社へ建設現場職員として人材派遣を行っていたモンゴル企業社長(女性)と懇意にしており、数年来の付き合いであったもの。なお、モンゴル企業社長は日本の大学を卒業し、日本語を解する。
その日本企業社長は、モンゴル人社長よりモンゴルにおける金鉱山の開発を持ち掛けられ、自身の余資を以て1億円の投資を決定。弊事務所では直接貸付を行うのではなく、一旦、1億円を本国TDBにて定期預金取組の上、預金担保設定の上、債権者をTDBとすることが回収促進、元利金延滞に対する牽制力になるものと説明の上、一旦は本国TDBで定期預金を取り組んだ経緯。一方で、モンゴル人社長はそれを非常に嫌悪し、日本人社長へ強引に直接貸付へ切り替えるよう勧奨し、最終的に定期預金を取り崩し、モンゴル人社長への直接貸付に切り替えたもの。その際の貸付契約書は未整備のまま、貸付を実行。
その後、元利金の返済は一回目から滞り、貸付契約書の整備、貸付条件を緩和した契約書のまき直し交渉も進捗せず、モンゴル人社長は日本人社長からの電話にも出ない状態。事実上の貸し倒れとなっている。なお、モンゴル人社長は現在、ウランバートル市内にて日本食レストランを経営。金鉱山開発の話は囮であったことが判明。

【研究】

投資実行前に、弊事務所へ相談があったことがせめてもの救いであったもの。回収促進・延滞牽制力を発揮させるために現地銀行機能を活かしたファイナンススキームを提案したものの、モンゴル人社長との人的紐帯を優先し、且つ、弁護士事務所を活用した正当な貸付契約書の作成・調印をなおざりにして、現金をモンゴル人社長へ送金してしまったことが最大の判断ミス。金鉱山開発の話題は、外国人投資を引き出すにあたり散見される投資話であることにも注意を払わなかった。当然ながら金鉱山の開発許可、掘削許可の状態も未確認、所在地すら未確認であったもの。

【教訓】

  • 「数年来の知己であっても投資案件における信用調査は別物」
  • 「日本からの直接貸付を踏み倒してもモンゴル人は痛くない」
  • 「モンゴル現地で悪評が立つのを不悪と思うモンゴル人は多い」

【失敗しないために】

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失敗事例その7:日系企業現地法人と現地地場企業の癒着・不透明取引

失敗事例その7:日系企業現地法人と現地地場企業の癒着・不透明取引

【事例】

本邦企業はモンゴルへ現地法人を開設し、長くモンゴルにて事業展開をしている。モンゴル事業の拠点となる不動産の管理については、モンゴル地場不動産管理会社を活用。一方で、当該不動産の土地建物は別のモンゴル人オーナーの保有となっており、モンゴル人土地建物オーナーと日系企業現法との間で、同不動産管理会社がサービスプロバイダーとして仲介しているという契約関係であったもの。
同不動産管理会社の不動産管理契約期限の到来に際し、本社が契約金額の精査に入ったところ、同不動産管理サービスにかかる契約金額が社会一般通念を超える大きな金額であったことが判明。長年の取引が当事者同士の癒着を産み、不透明な資金の創出に繋がっていたことが判明したもの。特に不動産管理会社側に政治関係者がいることも要因のひとつと推察される。

【研究】

金融機関において契約監査法人は4年に一度、変更することが義務付けられているように、企業周辺のサービスプロバイダーとの定期的な契約変更が当事者同士の癒着・不透明取引の回避に資するもの。特に国が小さいモンゴルでは、政治関係者との人的紐帯を保有するモンゴル人も多く、日系企業としては一定の距離を確保しておくことが肝要。その意味で本事例は適切なコンプライアンス・ガバナンス体制の欠落、ダブルチェックを利かせる機能的な組織編制・人的資源の涵養がなされなかった人災。

【教訓】

  • 「本社のモンゴル現地法人へ対する定期的且つ効果的な監査・管理の徹底」
  • 「現地各種サービスプロバイダーとの定期的な契約変更による牽制力の発揮」
  • 「当事者の定期的な人事異動、ダブルチェック体制の構築」

【失敗しないために】

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失敗事例その8:貸付金の資金使途違反

【事例】

モンゴル地場著名企業は、日本からの物品販売を主力とし、且つ日本の輸出者は信頼のおける日本企業。A銀行は、モンゴル企業オーナーとの良好な人的紐帯、さらに日本における輸出者との銀行取引強化を視野に入れ、在庫資金として輸入者であるモンゴル企業への融資を決定。億円単位での融資取引を重ね、相当額に積みあがった。その後、継続稟議にあたり、連結決算をしていないモンゴル地場企業グループ各社の決算書の内容を検証していたところ、どうしてもつじつまが合わないため、モンゴル地場企業オーナーへ詳細聴取のところ、本来、日本からの輸入物品の在庫資金として融資した資金が、グループの別事業へ流用されていたことが判明。資金使途違反が浮き彫りとなったもの。
モンゴル企業側はモンゴル現地会計事務所からのパートナーのサイン入りレターを提出、嫌疑を晴らそうと試みたものの、その内容は稚拙極まりないロジックに過ぎず、著名会計事務所名でのレター乍ら、会計事務所パートナーが手数料を受領して個人的に調印したものと推測。
結果、段階的に増枠していた融資枠は凍結、期日到来とともに順次返済を勧奨。最終的に融資取引は落ち切りとなった。一方で、モンゴル企業オーナーは資金使途違反について反省の色が見えず、却って逆恨みともいえる悪意を持ち始め、その後、種々、問題を惹起することとなった。

【研究】

資金使途違反は信頼関係を損ねる大変な行為であるという認識がモンゴル企業オーナーになかったことが一番の主因。加えて、資金面の管理についての指導・アドバイスが不足していたことも副要因。表面的な事業展開の成功に囚われず、詳細な財務・経理内容の精査が肝要。

【教訓】

  • 「良好な信頼関係のみを拠り所にした取引関係の開始は問題の始まり」
  • 「清廉なお金周りこそが信頼関係の基礎」
  • 「良好な関係の悪化は、何もない関係から悪化の幾倍もの問題の元凶」

【失敗しないために】

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失敗事例その9:マンション開発用地のモンゴル人パートナーによる流用

失敗事例その9:マンション開発用地のモンゴル人パートナーによる流用

【事例】

四国所在の地場富裕層は、自社で来日の上、勤務していたモンゴル人を通じてウランバートル市内でのマンション開発プロジェクトを持ち掛けられた経緯。用地はウランバートル市内の目抜き通りに近く、住居用マンション開発がなされれば相応の分譲収益が見込めると考えたもの。モンゴル土地法の制限から、外国人が土地を保有できない為、共同パートナーの名義とせざるを得ないと判断。資金をパートナーへ送金、土地の買収を完了。一方で、数年経っても建設資金不足を理由にマンション開発は着工せず、疑義を持ったことから弊事務所へ相談があったもの。
入手した各種土地関係資料を以て、現地調査を開始。結果、同土地はモンゴル小規模地場行の抵当権が設定されており、モンゴル人パートナーを債務者とした借入の担保になっていることが判明。また、当初の資金送金の際に、パートナーとの間で作成した契約書はA4縦1枚余りの管轄法・管轄裁判所条項のない契約書で実効性は極めて僅少であることも判明。結果、弊事務所が紹介した信頼のおける弁護士事務所において、再度契約書のまき直しを実行。モンゴルに日本人富裕層全額出資・独資の新規現法を開設、その新規現法を債権者とし、①債権債務の存在確認契約書を締結、その後、②同債権債務を対象にした金銭消費貸借証書を締結する方針とし、金利こそ取れないものの、元本だけでも回収できれば良いという日本側富裕層の意向に鑑み、目下、回収作業中。

【研究】

そもそも、モンゴル側パートナーの信用調査不足が原因。マンション開発にあたっては、少なくとも共同出資の形でモンゴル現地法人を開設し、そこを事業拠点とすべきであったもの。なお、資金周りについては、現法銀行口座を現地銀行に開設し、インターネットバンキングで都度管理出来る体制構築が重要。例えば、支出支払にあたっては、現地モンゴル側出資者はインターネットバンキングで申請オペレーションのみが行える内容とし、日本側出資者のみが同じくネット上でその支払・支出についての承認オペレーションが出来るという、ダブルチェック体制を敷くべき。資金移動について、モンゴル側パートナーの自由にさせることは不正支出の温床となるもの。
同時に、モンゴル現地法人名義の土地としておけば、地場中小銀行からの抵当権設定の際にも、日本人富裕層の応諾調印が必要となり、かかる事態は回避できたもの。

【教訓】

  • 「自社で勤務していたモンゴル人であっても投資案件においては別物」
  • 「モンゴル現地法人を開設し、正面突破の事業方針が成功への近道」
  • 「現地の不正は、足らない仕組みから発生する」

【失敗しないために】

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失敗事例その10:モンゴル別荘地の開発プロジェクト

失敗事例その10:モンゴル別荘地の開発プロジェクト

【事例】

四国在住の富裕層は、モンゴル人知己に勧誘されウランバートル郊外の別荘地の開発に着手。同用地は、幹線道路からやや奥まったところにあるものの、幹線道路からも見える場所であるもの。なお、モンゴル土地法の制限から外国人が土地を保有できないということで、モンゴル人パートナーへ資金を送金。その後、何年経っても別荘地の開発が進まないことから弊事務所へ相談があったもの。
土地関係書類を受領し、現地調査を実行。結果、そもそもその土地の当時の実勢価格は日本人富裕層の送金金額の半分以下で、数倍の高さで購入していたことが判明。加えて、時間の経過とともに別荘用地の周辺土地が順次買収されており、同用地が入口出口のない袋地となりつつあることが判明。日本人富裕層の判断で一早く売却を進めることとなったものの、略、袋地となってしまっていることから買い手が付かない現状。隣接地オーナーからも足元を見られて安く買い叩かれつつある状態。また数百万円かけて設置した周囲を囲む塀についても一部を破壊され、隣接地の住民が侵入、勝手に住み着き始めてしまっている状態。

【研究】

先の事例同様、モンゴル土地法の制限を認知の上、自身にてモンゴル現地法人を開設し、自身の手で別荘地開発を進めるべきであったもの。その際に土地価格の検証を複数の情報源に確認すべきであったものの、結果、差額部分をモンゴル人パートナーへ詐取されたことと同様の結果になってしまったと言えよう。
加えて、周辺隣地が順次、買収され、袋地になってしまえば、土地価格も下がることは万国共通であり、不法住民が住み着き始めれば相当年数が経過すると地上権が発生してしまう恐れもある。

【教訓】

  • 「モンゴルの不動産開発は、自身のモンゴル現地法人を事業拠点とするべき」
  • 「モンゴル郊外の土地は遠隔地でもあり管理が難しい」
  • 「成功は何をやるかではなくて、誰とやるか」

【失敗しないために】

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失敗事例その11:ウランバートル市内マンション賃貸事業

失敗事例その11:ウランバートル市内マンション賃貸事業

【事例】

大阪市内に在住の日本人主婦は、家族の遺産が入ったことを近隣所在の在日モンゴル人で子供が同じ学校に通う、所謂、ママ友へ漏らしたところ、その在日モンゴル人ママ友からモンゴルでのマンション賃貸事業を勧誘された経緯。その在日モンゴル人ママ友の知己がモンゴル現地で3LDK程度の新築マンションを日本人主婦へ紹介。日本人主婦は家族の遺産30百万円余りを以て購入したもの。その後、ママ友の知己が入居者を紹介し入居に至り、当初は家賃収入があったものの、その後のモンゴル現地通貨の下落、円高基調にあって、円ベースでの家賃収入が減少し、また家賃支払の遅延も頻発したことから、実態調査の相談が弊事務所にあったもの。
マンション関連書類を入手の上、現地調査のところ、マンションのメンテナンスも劣悪で、且つ入居者が乱暴に使っていたことからマンションの棄損が激しく、且つ、マンションオーナーの日本人主婦の知らないところで入居者が次々と変わっていったことも判明。
日本人主婦の意向で、一刻も早く売却をする判断となり、現地にて不動産販売仲介業者へ繋いだところ、そもそも、同マンションの価格は20百万円程度のもので、実際には2倍近くの金額で購入していたことが判明。差額は在日モンゴル人ママ友とその知己の懐に入ったものと推測される。
結果、値段を下げて売却することとなったものの、おりしも新型コロナ禍でモンゴル国内市場が冷え切っていることから、なかなか買い手が付かず、今も売却を試みているが奏効していない。

【研究】

そもそも家族の遺産が入った等のお金関係のことを子供が同じ学校へ通うママ友へ漏らすことが問題。在日モンゴル人ママ友が悪意を以て詐取を試みる原因を自ら作ったもの。その後、モンゴルのマンションを購入するに当たり、ママ友の知己を通じて購入したが、価格面の検証も出来ず、また入居人との賃貸借契約についてもママ友の知己に丸投げであったこと問題を惹起したもの。モンゴル現地の知識なく家族の資金を投資し、結果、不動産を高み掴みし、メンテナンスや現状復帰の約束もなくいたずらに資産を劣化させることになり、本日現在、購入価格の半値程度でも買い手がつかない状態であるもの。日本人主婦本人は家族に対し申し訳ないという贖罪の気持ちで過ごしている。

【教訓】

  • 「自分自身に知見のない投資話には乗らないこと」
  • 「投資話は二重三重に裏付け調査をすること」
  • 「日本語を解するからと言って信用に値するかどうかは全く別物」

【失敗しないために】

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AFTERWORDあとがき

然し乍ら、このような不正はどのようにして起きるのでしょうか。コンプライアンス・ガバナンスの考え方の中において、不正には3要素が同時に揃うと発生すると言われております。次の図をご参照下さい。

つまり、このような3要素のひとつでも断ち切れば、不正が起きることを回避することが出来るという考えです。

敢えて、こうした数ある失敗事例をご紹介することで、同じ日本人としてモンゴル市場を舞台に同じ失敗をする日本人が一人でも減ることを祈念しております。

ここでご紹介したのは、弊事務所で相談のあった事例のうちの一部です。実際には、これ以外にも数多くのモンゴル投資話の失敗事例はあると考えております。転ばぬ先の杖、という言葉もありますが、日本を離れて遠隔地となるモンゴルはチャンスに溢れてもいますが、落とし穴もたくさん溢れています。ご不安に思われる際に弊事務所は、皆さまにとって良き「水先案内人」でありたいと思っておりますので、お気軽にご相談ください。

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